2023年のオリンピック夏季スポーツを振り返る~最もエキサイティングで感動的な歴史的瞬間の数々

表彰式の後の涙の抱擁、国を鼓舞した勝利、SNSで拡散された数々の感動シーン。パリ2024オリンピックを翌年に控えた2023年、スポーツ界はドラマに満ちあふれていた。Olympics.comでは、2023年に見た注目すべきスポーツの名場面を紹介する。

1 執筆者 Jo Gunston
Men's high jump gold medalist Gianmarco Tamberi of Italy, men's 3000m steeplechase gold medalist Soufiane El Bakkali of Morocco and bronze medalist Abraham Kibiwot of Kenya jump into the water on track during the World Athletics Championships Budapest 2023
(Photo by Patrick Smith/Getty Images)

2024年1月1日の朝、パリ2024を目指すアスリートたちが目覚めた時、ついにオリンピックの開催される年がやってきたことに改めて気づくだろう。

幸運なアスリートは、すでに各国の国内オリンピック委員会(NOC)によって代表に選ばれ、7か月もしないうちに開幕となるオリンピック競技大会に出場するためパリに向かうことが決まっている。

しかし、ほとんどの競技のアスリートは、これからもパリ2024出場枠をかけて競い合い、予選レースでは引き続き国内のライバルたちとしのぎを削ることになる。

全てはまだこれからだ。

さて、2023年もいよいよ終わりに近づいた。そこでOlympics.comは、この年に世界が驚嘆した最もエキサイティングで感動的なスポーツの瞬間を振り返り、来たる第33回夏季オリンピックへの期待を高めたい。

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夢は現実に、3連覇の偉業

1月に開催されたオーストラリアオープンテニスの男子ダブルスにエントリーすることを直前で決めたリンキー・ヒジカタとジェイソン・クブラーは、ペアとして初めて出場したグランドスラムで初勝利を挙げた。これにより、2023年のスポーツは、夢が現実になるおとぎ話のようなワンシーンからスタートを切ることになった。「ダブルスに出るかどうか迷っていました」と、クブラーはトロフィー授与式で語った。「でもリンキーが私を誘ってきたので、私はプレーすることに決めました。そして2週間後、私たちはこのトロフィーを手に入れることができたのです。リンキーには本当に感謝しています」

東京2020男子ハンドボールで銀メダルに輝いたデンマークは、この1月、スウェーデン・ストックホルムで開催された世界男子ハンドボール選手権の決勝で、同金メダルのフランスを34-29で下し、同国の7回目の世界王座獲得を阻止するとともに、男子代表チームとして初めて、世界選手権で3連覇するという偉業を成し遂げた。両国代表チームはすでにパリ2024出場枠を獲得しているが、パリ2024ではこの対戦が再現されることになるかもしれない。

クリケットの次世代スター、スケートボードの神童、バスケットボールのアイコン「キング・ジェームズ」

オーストラリア代表チームは、2月にクリケット女子トゥエンティ20ワールドカップで6度目のタイトルを獲得した。バングラデシュの10代のクリケット注目選手であるマルファ・アクターのような若いアスリートたちは、スカッシュフラッグフットボール野球・ソフトボールラクロスロサンゼルス2028の正式競技として追加されたことで、将来のオリンピック出場を夢に見ることだろう。

12歳(2023年2月時点)のスケートボードの神童、小野寺吟雲(ぎんう)はアラブ首長国連邦シャルジャで開催されたスケートボード・ストリート世界選手権で、フランスのオーレリエン・ジロー、2022年の覇者でポルトガルのグスタボ・リベイロに続いてランク外から一気に駆け上がり3位に入り、史上最年少の男子メダリストとなった。その後13歳になった小野寺は、5月に千葉で開催されたエックスゲームズにおいて史上最年少で初優勝を果たした。

2月、バスケットボールファンはみんなわかっていた。ロサンゼルス・レイカーズのチームメイトもわかっていた。対戦相手のオクラホマシティ・サンダーでさえわかっていた。レブロン・ジェームズがシュートを打つ体勢に入った時、誰もが次に何が起こるのかを認知していた。一瞬の沈黙の後、38歳の彼はNBAの歴代最高得点者となり、カリーム・アブドゥル・ジャバーの持つNBA通算得点38,387点を破り歴代1位となる通算38,390得点に到達したのだった。もっとも、キング・ジェームズの記録更新は今も続いており、現時点で39,234得点を記録している。将来のスター選手たちが、いつかこの偉大な記録に挑戦する日のために彼は記録を伸ばし続けることだろう。

必勝レースで作られるジャマイカの新たな伝説、パリ2024柔道のアイコン、世界中から称賛されるカンボジアのランナー

サマー・マッキントッシュ。彼女についての説明はどこから始めればよいのだろうか?カナダ・トロント出身の10代の彼女は、4月の2023年カナダ水泳選手権で2つの世界記録を樹立した。ひとつは女子400m個人メドレー(4分25秒87)で、ハンガリーのレジェンドスイマー、カティンカ・ホッスーリオ2016で出した当時の世界記録を7年ぶりに破った。もうひとつは女子400m自由形(3分56秒08)で、東京2020金メダリストでオーストラリアのアリアン・ティットマスが持っていた当時の世界記録を0秒32短縮した(現在の世界記録はティットマスが7月にマークした3分55秒38となっている)。11月、マッキントッシュは、7度のオリンピック金メダリストであり21度の世界タイトル保持者である26歳のケイティ・レデッキーを400m自由形で破った。マッキントッシュはこの時16歳だった。

ジャマイカのスプリンター、シェリー=アン・フレーザー=プライスは、オリンピックおよび世界選手権で合わせて13個の金メダルを獲得しているが、長年の厳しいトレーニングが4月のレースで実を結んだ。現在37歳の彼女は、陸上競技短距離走史上3番目に速い女性アスリートとしてスタートラインでライバルを見つめ、これは絶対に自分が勝たなければならないレースであることを確信した。彼女は6歳の息子、ザイオンのためにやらなければならなかったのだ。プライスはレースで他を圧倒した…。実は、これはザイオンの学校のスポーツデーのことだった。

柔道100kg超級のスター、フランスのテディ・リネールは、前回の優勝から6年経った今年5月のドーハで11回目の世界選手権タイトルを獲得し記録を更新した。3度のオリンピック金メダリストである彼は、世界で最も人気のある柔道家のひとりであり、フランスで最も愛されているアスリートのひとりでもあり、7か月もしないうちに自国で開幕となるパリ2024で象徴的な存在になることは間違いないだろう。

カンボジアのランナー、ボウ・サムナンは、5月に自国で開催された東南アジア競技大会の陸上競技女子5000mで最下位に終わった。しかし、彼女は他の全員がフィニッシュしてトラックを離れた時に襲った豪雨にもかかわらず最後まであきらめずに走った。これが、スタジアムにいた多くのファンの心を打ち、世界中からSNSへの投稿を通じて称賛された。サムナンはOlympics.comの独占インタビューで、「私はあきらめないこと、挑戦し続けること、忍耐強くいること、我慢強くいることを学びました… たとえ遅かったとしても、あきらめたり、途中で走ることをやめたりすることよりはずっといいと思います」と語った。

豪雨の中、最後まであきらめずに5000mを走り切ったカンボジアのボウ・サムナン/2023年東南アジア競技大会

カンボジアのボウ・サムナンは、豪雨の中、最後まであきらめずに5000mを走り切った/2023年東南アジア競技大会

(Kim Kyung-Hoon/REUTERS)

チームのために100mハードルを走る砲丸投げ選手

6月にポーランド・ホジュフで開催されたヨーロッパ陸上競技チーム選手権では、全種目での獲得ポイントが重要だった。だからこそ、ベルギーの100mハードル選手、アン・ザグレが負傷した時、砲丸投のジョリーン・ブンクウォが彼女の代わりに走ることになった。ブンクウォはレースを無事に終え、ひとりの選手がフライングで失格となったことから2ポイントを獲得し、自チームが失格にならずに済んだ。「チームは私にとってとても大切です」とブンクウォは語った。「1ポイントのために負けるわけにはいきませんでした」

パリ2024を前に打ち立てられる世界記録と歴史を作る瞬間

7月、パリ2024が開幕するちょうど1年前、世界中のファンはアスリートの多才ぶりに驚きを隠せなかった。ケニアのフェイス・キピエゴンは、ダイヤモンドリーグ第9戦モナコ大会の女子1マイルで4分07秒64の記録を出し、シファン・ハッサンの持つ世界記録を更新した。これがキピエゴンにとって、女子1500m(同第3戦イタリア・フィレンツェ大会)と同5000m(同第4戦パリ大会)と合わせて今季3度目の世界記録の樹立となった。

8月の世界陸上競技選手権ブダペスト大会では、ニーラジ・チョプラが男子やり投で88m17を投げ、インド初の金メダルを獲得した。

スペインのカルロス・アルカラスは、20歳の7月、ウィンブルドンの天然芝コートでノバク・ジョコビッチを破り、2度目のグランドスラム優勝を果たした。しかし、彼にはまだ破らなければならないジョコビッチの記録がある。ジョコビッチは2023年8月の全米オープン男子シングルスで優勝し、女子シングルスのマーガレット・コート(オーストラリア)の記録に並び、歴代最多タイ記録となるグランドスラム24勝目を挙げた。

7月の世界水泳選手権(福岡大会)で、オーストラリアの19歳、モリー・オキャラハンは女子100mおよび200m自由形で優勝し、世界選手権で2種目同時に金メダルを獲得した初の女性選手となった。しかも、女子200mの優勝タイム1分52秒85は、14年間破られることのなかった フェデリカ・ペレグリニ(イタリア)の女子競泳最長の世界記録を破るものだった。

同福岡大会で、中華人民共和国のチェン・ユーシーは、女子10m高飛込でほぼ完璧なパフォーマンスを発揮して世界記録に迫る457.85点を挙げ、東京2020金メダリストのチームメイト、クアン・ホンチャンを上回り、世界選手権での3連覇を果たした。この対決は、パリ2024でも注目されることだろう。

福岡大会で世界水泳史上初めて行われたアーティスティックスイミング男子ソロの金メダルは、スペインのフェルナンド・ディアス・デル・リオ・ソトが獲得した。男子選手は、パリ2024でオリンピック史上初めて男女混合団体種目でこの競技に出場する。

同大会では、マイケル・フェルプスが、自身の持っていた最後の男子400m個人メドレー世界記録をレオン・マルシャンが破る瞬間を解説したことは非常に感慨深いものだった。フェルプスは、フランスの21歳の神童に「私はこれを喜ばずにはいられない」と話し、マルシャンに金メダルを手渡した。

オーストラリアとニュージーランドが共催した1か月間におよぶ女子サッカーワールドカップでは、女子スポーツへの好感度が高まっていることを背景に世界中の視聴率を大幅に押し上げた。現チャンピオンであるアメリカ合衆国代表チームは、7月22日に行われたベトナムとの開幕戦で626万人の視聴者を獲得した。この日は、7月に移籍したリオネル・メッシがリーグスカップ2023でメジャーリーグ・サッカー(MLS)デビューを果たした日と同じだったにもかかわらず…。

女子サッカーワールドカップへの関心がどれほど広がっていたのかは、8月に拡散された動画を見れば明らかだ。ビデオでは、その便の乗客のほぼ全てがマルチダス(オーストラリア女子代表)とフランスとの間に繰り広げられた、はらはら緊迫するPK戦を映し出していた。PK戦では両チーム10人目までもつれ込んだが、最終的にオーストラリアが7-6で勝利した。その後、オーストラリアは初めて準決勝に進出したがイギリスに敗れ、決勝ではスペインがイギリスに1-0で競り勝った。

驚異的な才能、涙の抱擁、兄妹の喜び

9月、世界記録を連発している「モンド」ことスウェーデンのアルマンド・デュプランティスは、アメリカ合衆国オレゴン州ユージーンで開催されたダイヤモンドリーグ2023最終戦(プレフォンテインクラシック)の男子棒高跳で6m23をクリアし、5度目となる自身の世界記録を更新した。同大会でエチオピアの長距離ランナー、グダフ・ツェガエは、ケニアのキピエゴンが同第4戦パリ大会でマークした世界記録を更新し14分00秒21で優勝している。

アメリカ合衆国のキャロライン・マークスが抱いてきたサーフィンの世界タイトル獲得の夢は、カリフォルニア州サンクレメンテで5度の世界チャンピオンであり東京2020金メダリストのカリッサ・ムーアを破った時に実現した。21歳の彼女は、過去15年間で4人目となる女子世界チャンピオンとなった。

アジア競技大会2022杭州での感動的な場面と言えば、競泳の最終レースだった女子50mバタフライの表彰式の後、中華人民共和国のジャン・ユーフェイ池江璃花子が涙を流しながら抱擁していたことだろう。ライバルでもあり友人でもある2人は、池江が2018年の同ジャカルタ大会以来となるメダルを獲得したことに歓喜し感情的になった。池江は2019年2月に白血病の診断を受けメダルからは遠ざかっていた。

19歳のコリ・ガウフ(アメリカ合衆国)は、フラッシング・メドウズ(ニューヨーク市)で開催された全米オープンテニスでタイトルを獲得した後、兄に連絡しようとしたが、彼が電話に出ないことを不思議に思っていた。しかし、ガウフがベラルーシのアリーナ・サバレンカを2-6、6-3、6-2で破ってグランドスラムで初めて優勝した後に彼が叫んで飛び跳ねている映像を見て納得がいった。「兄が電話に出られなかたのも無理ありません。彼は今でも叫び回っていると言われていますから…」

コリ・ガウフ、2023年全米オープンで初勝利

コリ・ガウフ、2023年全米オープンで初勝利

(Photo by Sarah Stier/Getty Images)

レジェンドアスリートがオリンピックに復帰

2023年、パリ2024が近づく中で多くのオリンピアンたちがさらなる栄光を求めて復帰を表明している。

合わせて17個のオリンピックメダルを持つ3人のイギリス人、飛込のトーマス・デーリー自転車トラックレースローラ・トロット体操競技マックス・ウィットロックは、オリンピックの舞台に復帰すると発表した。

ラファエル・ナダルもまた、長期のけがから回復し、彼が愛するローラン・ギャロスでのマッチを通じてテニスに復帰することを明らかにしている。これまでに、ナダルはローラン・ギャロスで開催された全仏オープンに14度優勝している。パリ2024での活躍に期待が寄せられる。さらに、同郷のカルロス・アルカラスとダブルスを組むとなれば、ファンは大いに喜ぶことだろう。

オリンピックのアイコンでもある体操競技のシモーン・バイルスもまた、東京2020での困難な時を経て、いったん競技から離れた後に見事な復帰を果たしている。東京2020での彼女は、ツイスティ(実際の演技と身体の区別が難しくなる現象)が起こったため団体種目を棄権したが、その後、メンタルヘルスの治療に専念することを公表し多くの理解を得た。結婚して自分の家を建て、人生を楽しむための時間は彼女に生活と競技の間のバランスを取り戻すことを助け、10月にベルギー・アントワープで開催された世界体操選手権で復帰を果たした。会場は彼女が10年前に世界戦デビューを果たした時と同じアリーナだった。そこで彼女は5個のメダルを獲得し、これまでに出場した世界選手権とオリンピックを合わせて通算37個のメダルを獲得した史上最も偉大な選手のひとりとなった。

「バレーボールモンスター」と呼ばれるドイツのギョルギ・グロゼルについて話し始めると止まらなくなる。彼はこれまでに2度、競技から引退している。一度は2016年、そしてもう一度は男子代表チームが東京2020への出場権を得られなかった後だ。しかし、彼はパリ2024を目指して再び戻ってきた。彼はリオで行われたオリンピック予選で、132得点(アタック112点、ブロック11点、サーブ9点)を挙げてベストスコアラー2位となり、ベストアタッカーとしても3位となった。39歳の彼にとっての究極の夢は何だろうか。それは、彼の娘であるリアナ・グロゼルもパリでプレーし家族全員でオリンピックを楽しむことだ。

ポルトガルでは、9月から10月にかけてフランスで開催されたラグビーワールドカップから帰国した男子代表チームが何百人ものファンに迎えられ歓迎を受けた。ワールドカップ2度目の出場を果たしたポルトガル代表チームは、2戦目でジョージアと引き分けた後、息をのむような試合でフィジーを相手に24-23でワールドカップ初勝利を収めた。

オーストラリアのグレイス・ハリスは、オーストラリアのプロクリケットリーグ、10月のビッグバッシュリーグで記録を破っただけでなく、バットが壊れていることに気づいた後、SNSで拡散される貴重な瞬間も提供した。「新しいバットが必要だ」と彼女は焦ってチームメイトに叫んだが、「気にしない。とにかく打つ」と思い直した。彼女は打った。2つに折れたバットを飛ばし、ボールはバウンダリーを越えて6ランを得点した。

2023年のラグビーワールドカップの優勝国である南アフリカは、強豪国ニュージーランドのオールブラックスを決勝で破り4度目の優勝を果たし、国中に喜びをもたらした。ウェブ・エリス・カップを2度獲得した史上2人目のキャプテンであるシヤ・コリシは、「希望を必要とする人々のため」に戦ったと喜びを表現している。

喜びに満ちたラン、貧困から最優秀選手へ、素晴らしきスポーツマンシップ

アフガニスタンは、10月から11月にかけてインドで行われた男子クリケットワールドカップで夢のようなラン(得点)を決めた。元チャンピオンのイギリスをはじめ、パキスタン、スリランカ、オランダに勝利し、クリケットファンの注目を浴びた。またファンたちは、オーストラリアがホスト国のインドを破って優勝するという予想を覆す結果に盛り上がった。

12月にあった夢のような話は、セリエAナポリのヴィクター・オシムヘンが2023年のアフリカの最優秀選手に選ばれたことだ。ナイジェリア出身のストライカーであるオシムヘンは、両親を亡くすなどの困難な状況で育ったことをX(旧Twitter)に投稿している。「私は子どもの頃、私たち家族が直面していた数々の困難を生き抜くために、ほとんど毎日、通りで物を売っていました。アフリカと世界のサッカーのためになることなど無謀な夢でした。ですから、今の私には言葉で喜びを表現することができません、これは私にとってとても特別な瞬間です」

アイルランドのフィノーラ・マコーマックは、12月のバレンシアマラソン(スペイン)で5度目のオリンピック出場を決めている。これは、アイルランド選手にとって最多出場記録となり、彼女が3人目の娘を出産してから5ヶ月後のことだった。

最後に、12月にスペインで開催されたマラガマラソンでの爽快なスポーツマンシップの瞬間を紹介したい。地元マドリード出身のリカルド・ロサードにとって、すぐ前を行くケニアのエバンス・キムタイ・キプロノを抜けば5位でフィニッシュするチャンスだった。しかし、キプロノは極度の疲労で苦しみ、立つだけでも精いっぱいだった。ロサードはキプロノを支えて共にフィニッシュを目指し、彼を自分より先にフィニッシュさせたのだった。レース後のインタビューで、ロサードは次のように述べている。「マラソンはひとつの貴重な経験です。彼は今日のレースの中で終始、私よりも優れていました。彼には5位になる価値が十分にあったと思います。マラソンではライバルと一体感を得ることができます。これこそスポーツの価値です」

私たちはこうして今、2023年にさよならを告げ、オリンピックが開幕する新しい1年とパリ2024をまさに迎えようとしている。

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